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意匠部の特徴(デザイン戦略)

出願前段階のデザイン開発会議

特許出願と同様、意匠出願についても出願前の戦略が最も重要となります。権利化を行ううえで、創作されたものについて登録性の評価を行い、どのような権利化を目指すべきか、事業戦略も考慮して開発会議の段階で明確にしておく必要があるからです。

当部では、これまでに我が国でトップクラスの意匠出願件数と訴訟件数があり、意匠に強い事務所として高い評価を受けております。

また、意匠権侵害訴訟も数多く(60件以上)経験しており、これらの経験を活かして、企業のデザイン開発から出願戦略まで一貫したデザインの保護戦略(例えば創作されたデザインの全体意匠及び部分意匠及びこれらの関連意匠のバリエーションマップの作成)を行っており、取得した権利を有効活用(他社への牽制、権利による収益等)できるよう、模倣防止や改変行為等他社の接近行為の防止等、あらゆる側面から出願前の戦略会議を行います。

特に、意匠は競合他社や中国等で安易に設計変更されたり、模倣されやすい他、モデルチェンジ等のデザイン変更される場合も多いため、これらのことを意識して出願前の対策を検討することが極めて重要です。また関連意匠については、本意匠の公報発行日前までであれば出願することが可能ですので、出願前の戦略はむろん、本意匠の出願後に設計変更された形状の保護等、関連意匠を出願するか否かを総合的に検討することが重要です。

出願時段階

出願前段階のデザイン戦略会議によって出願の方向性が決まれば、願書を作成して出願を行うことになりますが、さらに綿密な打合せを行ってから写真、図面等で出願を行いますので、クライアントの意図に沿った出願を行うことができます。

出願対象によっては、部分意匠、関連意匠、秘密意匠といった意匠制度を有効に活用した出願を行う必要がありますが、当部門ではクライアントが創作したデザインに対して、意匠制度の側面と市場の動向や登録例等を考慮してから、デザインのバリエーションを行って、出願段階においても権利化後のことを考えた出願戦略を行います。特に競合企業のデザイン動向をも踏まえて出願戦略を検討します。
次に企業が早期権利化を希望する場合には、早期審査制度を活用して早期権利化を達成しています。

外国出願

外国への出願が想定される場合には、各国の法制、出願のタイミング、事業展開等も考慮し、国内の出願と連動した出願戦略を行います。また、ハーグ協定による国際出願もすでに出願実績がある他、海外への意匠出願は既に30ヶ国以上、300件以上の実績があります。

審査段階

日本の意匠法では審査主義が採用されているため、出願を行ったものが全て特許庁の審査官によって登録性が審査されます。審査される登録要件には、出願に係る意匠若しくは類似する意匠が出願前において公然に知られていないかどうか、刊行物等に掲載されて出願前に頒布されていないか、さらには公知意匠等から容易に創作できたものでないかといった要件があります。

審査が行われた結果、登録性が認められれば登録査定となり、登録料を納付すれば意匠権が発生することになりますが、登録性がないと判断された場合には、その判断理由を挙げて登録することができないとして拒絶理由が通知されます。

意見書・補正書(審査官面接対策)

審査の結果、登録性がないと判断された場合に、権利取得を断念するようであれば出願を放棄することになりますが、権利化を目指す場合には、審査官が通知してきた拒絶理由に反論すべく、意見書を提出して審査官の判断を覆す必要があります。

当部門ではこれまでに多種多様な案件を扱っており、その蓄積されたノウハウを活かした拒絶理由への対応が可能で、特に重要な出願については積極的に特許庁に出向いて審査官と直接面接を行い、審査官の理解を深めて拒絶理由を解消できるように対応しておりますが、この審査官面接は当部門の特色の一つで、相当な実績があります。

なお、意匠出願でも補正を行うことはありますが、特許出願のように文章で出願対象を特定して出願を行うものではありませんので、補正書の提出が必要となる場合は限られます。

拒絶査定不服審判(審判対策)

拒絶理由に対して意見書による反論を行っても、審査官の判断を覆すに至らなかった場合には、拒絶査定という形で審査が終了しますが、事業展開を行って売上が伸びている商品など、企業にとって重要な案件であれば権利化することが命題となります。

そのため、拒絶査定に不服がある場合には審判を請求して、審判官の合議によって審査官の判断が妥当であったか審理が行われます。審判請求についても多種多様な案件を扱っているため、その経験を活かすと共に積極的に審判官と面接することによって、権利化へ導けるような体制をとっています。特に審査官の判断が不当と判断した重要出願については、当部門では徹底的に争い、審判や審決取消訴訟まで行うのも特色です。

なお、審判官の審理によって拒絶理由が解消すれば登録となりますが、審査官の判断が妥当であったと判断されれば審決で拒絶査定が維持されます。さらに、審決に不服があれば知財高裁に審決取消訴訟を提起することが可能です。特に企業にとって既に模倣品が販売されているとか、出願に係る製品の売れ行きが良い等、事業上重要な出願については、審決取消訴訟を提起し、審決が取り消された事例も数多く経験しております。